【山を知る】ー後編ー
お昼の後は再びバスに乗って、美山へ移動してきました。
最初に着いたのは、小規模で森林など身近にある資源のフル活用を実践するNPO法人美山里山舎。
▲左の建物は里山に馴染む伝統構法で建てられたカフェ。右の建物は作業小屋。
設計士兼大工である代表の小関康嗣さんにお話を伺います。
「活動内容は多岐に渡りますが、現在の主な取り組みは森に四万十式作業道をつけ、木の伐採、搬出、製材、加工まで一貫して行うことです。建材や燃料まで自らつくりだすことで付加価値をつけることができます。さらにうちは伝統建築の設計から施工まで請け負っています。切るだけでなく材の売り方まで考え、地域にどう落とし込むかまでが重要です。」と、小関さん。
山から建築まで木に関することはなんでも実践しています。
▲美山里山舎代表の小関さん。奥に見える小屋は炭窯です。
▲カフェの土壁を触る参加者たち。この日カフェの中では味噌作りワークショップが開催されていました。
▲金具を使わずに建てらてた、移動ができるモバイルハウス。ロフトもついてます。
▲アメリカ製の簡易製材機。機械の輸入販売も行っています。
▲同じく地域おこし協力隊で大工見習いの相川仁さん。山の利活用に取り組まれています。
▲短時間で薪を量産する様子を見せていただきました。なんと9秒で出来上がるそう。
▲大工の草木さん。大工歴40年のベテランです。
参加者のみなさんは美山里山舎の資源の活用の徹底ぶりには終始驚いていました。
エネルギッシュで聡明な小関さんの工程の最適化には学ぶべきところがたくさんありますね。
さて、次の目的地に向かいます。
▲お昼になり、少しあったかくなってきました。
▲タイムスリップしたかのような懐かしい風景。見事な屋根です。
少し歩いて着いたのが、立派な茅葺きの屋根が素敵な竹澤邸です。
この茅葺きのお宅と裏山にある炭窯を見学させていただきます。
お出迎えしてくださったのが竹澤玲子さん。
昔の生活や家の歴史を説明してくださいました。
昨年はドングリが少なかったので、クマが毎晩家のそばの柿を狙いに下まで来ていたそうです。驚きです!
▲ピンクのダウンと紫の帽子がお似合いの竹澤玲子さん
▲このお家、登録有形文化財に指定されています。
▲この日のために朝から雪かきをして、炭窯までの道を作ってくださっていました。
実際に裏山にある炭窯を見せていただきました。
ちょうど炭を焼いている最中で煙突からは白い煙がもくもくと立っていました。
ここで2週間に一度炭を焼いて、そこから採れる木酢液も生産しています。
▲お宅の中の全てのものに歴史を感じます。
部屋の中にもお邪魔させていただいて少し休憩。
居間になんと囲炉裏がありました。
あたたかいココアをいただいて、ほっこり。
さあ、この日最後の目的地は美山町島区にある公民館です。
実は先ほど見学した、美山里山舎の小関さんが伝統構法で建てられた建物でもあるのです。
▲自然素材で建てられたあたたかみのある建物です。
▲美山町や公民館について説明する区長の倉内さん
この公民館は地域のみんなが集える場所として建てられました。
区民の方は頻繁にサロンを開いて交流しているそう。
「自然素材だと落ち着いていいね」と好評なようです。
続いてこれまでの2日間を振り返ります。
▲3チームに分かれて考えます。
テーマは3つ
・「京都で見つけた宝とは?」
・「磨けば光るモノ・コト」
・「自分の今後に活かせそうなこと」
この2日間で出会ってきたもの、たくさんありましたね。
みなさん真剣な面持ちで想いを付箋に書き出していました。
▲チームによってまとめ方はさまざま。
チームでまとめた後は発表タイム!みんなで意見を共有します。
やはりみなさん、森の活用に積極的な京都の人々に熱意を感じたそうです!
他には、まちと山の関係を良くしていきたいといった意識の変化や、
薪ストーブを導入したいなど具体的な意見も出てきました。
中には木で楽器を作ってはどうかという意見も!
様々な意見がでてくるのも、出身地も年齢も職業も異なる背景を持った方々が集まっているからですね。
京都での気づきを、ぜひともみなさんの地元へ持ち帰って欲しいです。
みなさんの今後が楽しみです!
▲地元の仕出屋吉野さんが作ってくださった美味しそうな料理の数々
じっくり振り返ったの後はお待ちかねの懇親会です!
地元の方々もお招きしてさらに賑やかになりました。
乾杯の後は、みなさんビールや地元のお酒を片手に話が弾みます。
▲みなさま1日お疲れ様でした!
2日目は山を巡るということで、普段はなかなかお目にかかれない現場を見学することができました。
見ている側として、参加者の皆様は終始、わくわくした表情で楽しんでおられた印象です。
レポートはここで終わりますが、Woodluckというゆるやかな繋がりはまだまだ広がっていきます。
(秋田)
「WoodLuck#6」2日目 テーマは【山を知る】
WoodLuckとは
岩手県陸前高田市の長谷川順一 氏(箱根山テラス代表)と、岡山県西粟倉村の井筒耕平 氏(村楽エナジー代表)が2015年初頭に出会い、「ちょうどいい木質バイオマスのかたちは、いろんな立場の人が一同に集まって、美味しいご飯でも食べながら知恵を出し合う方がいいんじゃないか!」と意気投合。そして生まれた「WoodLuck」という集いの第6回を、ご一緒しましょう。
WoodLuck#6 詳細はこちら
初日の【街を知る】から景色はがらりと変わり、この日のフィールドワークは京都の山間地域を巡ります。
まちなかとはまた違った違いが見つかるでしょうか? 【山を知る】スタートです。
▲この日はすっきり快晴 朝日が気持ちいいです。
まずは最初の目的地、京都北山の中川地区の名産「北山丸太」を生産する中田さんの工場を見学しました。
▲北山丸太について説明をしてくださる中田さん
「北山丸太は昔から床柱に多く利用されてきました。今の生産量は最盛期の1/10になってしまった。」と中田さん。
お話の後は、倉庫に保管している北山丸太を見せていただきました。
▲凹凸と、つやつやに輝く木肌が北山丸太の特徴です。
次は、北山杉の皮を剥ぐ工程を見せていただきました。
水圧を利用することによって木肌が傷つくことを防いでいます。
実際に作っている現場を目にすると、水しぶきが辺りに飛び散る豪快さに圧倒されてしまいます。
▲凄まじい水圧です。
ある程度皮が剥けたところで経過を見せていただきました。
ツヤツヤな木肌がとても綺麗です。
▲北山杉が北山丸太に変わる瞬間です。
さて少し歩き、次の目的地に移ります。
たどり着いたのは築90年の木造三階建ての北山丸太専用の倉庫です。
▲後ろに植わっている木々が北山杉です。
▲中川ガイドをしてくださる森下さんの北山杉の説明を興味津々に聞く参加者たち。
「3年おきに枝打ちという小枝を切って木を真っ直ぐに育てるための作業をします。
北山杉は他の杉と違って限界まで細く、多く残しています。」と森下さん。
安易に切ってしまうとお金にならない林業の難しい現状を交えつつ、他の地域との違いについて知ることができました。
実際に建物の中に潜入してみると、所狭しと丸太が並んでいます。
▲手前のものは人工の北山丸太で、専用の用具でぽこぽことした模様をつけています。
実はこの倉庫、川端康成原作の京都北山が舞台の映画「古都」にも登場しています。
絶賛上映中です。参考URL http://koto-movie.jp/
さて次は中川名物 巨大台杉を目指します。
▲細い路地をひらすら上ります。
▲朝日が山に差し込むいい景色です。
歩くこと10分、到着です。
どどーん! なんとこの台杉、樹齢450年です。
▲下部が台のようになっているので台杉と呼ばれています。
ガイドの中田さん、森下さんのご好意で、普段は非公開のお寺にもい邪魔させてもらえることに。
▲縁側で景色を楽しむ参加者たち。
縁側からお庭の膝立て地蔵と北山杉の景色が一望できます。
▲お庭は住職の方が20年かけて完成させたそう。雪で隠れてしまっているのが残念です。
坂を少し下って、中川八幡宮社に移動します。
▲光が差し込む明るい境内
ここにも巨木を発見!
こちらは先ほどの台杉よりさらに年上、樹齢600年の大杉です。
直径は4.3mもあります。
しかしこの杉は他の杉に比べると、成長は遅い方なのだそう。
それでも十分大きいですね。
▲大きさを人と比較すると一目瞭然。
▲ちょうど地域の方が節分祭の準備をされていました。
こちらのお母さんの他にも境内を掃除している方もいました。
地域の人に大切にされている場所ですね。
▲集合写真をパシャリ。
さて次はバスで右京区京北に移動します。
着いたのは、ペレットストーブのペレットを製造する森の力京都株式会社。
社長の久保さんにお話を伺います。
▲工場内にはペレットストーブがたくさん並んでいます。
▲ペレットをひねり出す部分。機械によって製造のコツが違うので、これから事業に携わろうという方は
積極的に質問されていました。
▲完成品はこちら
さらに移動して、次は薪の宅配や薪ストーブを設置をされている美山エビスウッズガーデンの岡本さんにお話を伺います。
▲地域で薪をどう製造販売するのか、熱く語って下さいました!
急遽、岡本さんのご好意で薪工場も見せていただける事になりました。
▲地元の林業大学校卒業生を雇用されるなど若い力を素敵に育てておられます!
お待ちかねのランチは、美山エビスウッズガーデンに併設するレストランでいただく特製のビーフカレー。
外で冷えた体があったまります。
▲辛さ控えめで優しい味がしました。
お腹も満たされたところで午後は京都市を抜けて、南丹市美山を目指します。
【山を知る】ー後編ーへ続きます。